前夜

テレビを流れるニュースは言う

この街は、明日から緊急事態なのだとか

逆に言えば、今はそうではないのだとか

 

いくつもの夜がそうであったように

この夜だって僕たちを僕たちのまま

明日へ運んでくれるはずなのに

0時を境に何が変わってしまうというのか

 

まるで賞味期限の切れるミルクを

前にしているような夜だ

 

だけどそんなことは知らぬ顔で

明日はやってくるのだろう

それがお前の強さだと知りながら

この夜の越え方を僕はわからないでいる

 

目を離してしまえば

その隙に何かが決定的に変わってしまいそうで

胸にミルクを抱えたまま

いつまでも眠れずにいるのだ