2021-01-05 夜は水 詩 葉を落とした街路樹の足元に 綺麗な鱗を見つけんたんだ きっと夜は水で この辺りには魚が泳いでいる それは遠い昔に絶滅した 誰も知らない無名の魚で さみしい人のそばで尾ひれを振りまいて 鱗を一片落とすのさ 夜の街を歩いていたら 知らない場所にたどり着いたんだ きっと夜は水で この辺りには絶え間ない水流がある それは始まりも終わりもなく 決して淀むこともない水流で さみしい人はちょっと軽いから 勝手にどこかへと運んでくる 夜は少し冷たくて どこまでも透き通っている 確かな肌触りを感じるが 決して掴むことはできない きっと夜は水で さみしい人をゆらゆら揺らすのさ